牛のキンタマ、ペルノー酒風味

イタリア料理のいかなるシェフも、私ほどの落ち着きをもって『ペルノー酒風味の牛のキンタマ』を説明したことはないと確信する。
常識的に考えて、そのようなレシピをどこで発表できるというのか?ラジオ又はテレビ、まさか!
こうして、私がこの場を利用して、強き『ペンの力』を借りてこの素敵な料理を紹介する運びとなった。
しかもこのレシピは、バチカンさえ関係する歴史を持っている。それもローマ法皇が!
さほど昔の話しではない。気違いじみて牛のキンタマのオーブン焼きが好きな教皇がいた。バターとサルビアで味付けしたやつを、朝晩7、8個も食べていた。当然のことながら教皇さまが毎日料理番のところへ行き「いつものキンタマのオーブン焼きを作りなさい」というわけにはいかなかった。どうしても法皇らしからぬ不真面目な発言になってしまう。そこで教皇はこの食材に『大粒』という洗礼名を与えたもうた。
それ以後、レストランで教育の行き届いたチーフウェイターが客に勧める時には「今日は牛の大粒のオーブン焼きが・・・」と言うようになった。
3年前、我が家で催す毎年恒例のテニストーナメントを利用して、この料理を実験してみた。
30人の参加者に30個のキンタマのペルノー酒風味。全員がそれを『仔牛の腎臓トリフ風味』と取り違えた。
しかし下品な料理という印象を与えないうちに、レシピの説明に移るとしよう。
牛のキンタマを用意し、縦に切れ目を入れながら皮を剥く。
赤裸々な姿になったタマキンをナイフでそっと薄切り(小指くらいの幅)にする。
ペルノー酒を満たした容器にタマタマを入れ、塩をふって30分くらい浸けておく。
たっぷりペルノーを含んだところで、取り出し、パン粉をつけてオイルで焼く。
厳粛な顔でテーブルへ運ぼう。
私がテニストーナメントで体験したように、あなたの友人も仔牛の腎臓か、よくある腿肉だと思うだろう。珈琲が出るまでそう思い込ませておく。楽しみは取っておいたほうが大きくなることだし。そして、牛のキンタマを1個胃の中へしまい込んだ人達に、その事実を知らせてあげる。
みんなのリアクションを存分に楽しもう。精神分析のテストにもなる。



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