至福のトリュフ

天才トリュフ犬が活躍!
 晩秋、冬トリュフの季節到来。レストランのドアを開けると噎せ返るようなトリュフの芳香が迎えてくれる。これほど食欲を刺激する香りはない。そしてこの香り故にトリュフ犬は地下に隠れた不思議なキノコを楽々と探り当てる。
 黒トリュフの産地として名高いウンブリア州ノルチアにトリュフ狩りを取材した。協力してくれたアウグスト氏は地元では有名なトリュフ狩りのプロで5匹のトリュフ犬を持つ。この日は中でも一番優秀なテェちゃん(2歳の雌)を連れて私達は山に入った。ちなみに、トリュフ犬は血統が大事で赤ん坊の時から調教する必要があるそうだ。
 アウグストは自分だけしか知らない秘密の採集ポイントをいくつか持っている。その内の一つで車を停め、後部座席から犬を下ろすと「さあ行け。ここはしばらく来てないから十分育ってるはずだ」と命令した。小柄で茶色の雑種犬は鼻をピクピクさせながら、しばらく空気中の臭いを分析していたが、突然弾かれたように走り出した。道端のなんでもない茂みに走り寄った犬は、両方の前脚を素早く動かし、すごい勢いで穴を掘る。ほんの10秒ほどだった。気が付いた時には、直径5センチはあろうかというみごとなトリュフをくわえていた。そして尻尾を振りながらアウグストの元に帰ると、手の平にトリュフを置いた。彼はトリュフを腰にぶら下げた布袋に入れ、褒美に小さな干し肉を与える。あっけに取られて眺める間に、この作業が何回となく繰り返され、30分もたつと袋は一杯になってしまった。2キロはあったと思う。あまりに簡単過ぎる。巷で売られるトリュフの価格に疑問を持ち初めた私が「毎日こんなに採れるのか?」と尋ねると「今日は犬の調子が良かったからさ。一度採った場所はしばらく使えないしね」という解答。その後アウグストの家で御馳走になった「採り立てトリュフのスパゲティ」は至福の代物だった。
取材が終わった後、アウグスト氏宅で「超フレッシュトリュフのスパゲティ」を御馳走になる撮影隊

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