復活祭

復活祭のお菓子
カーニバル後、40日の精進期間が過ぎると復活祭がやってくる。十字架で犠牲となったキリストが三日後に蘇ったことを祝う日で、カソリック大国イタリアでは、クリスマスと並び最も重要なお祭りだ。古くは食卓に犠牲を象徴する羊と、白い鳩や卵の白身など清廉を現す「白」を饗して祝った。
現在この白鳩は箱詰めにされスーパーの棚に並ぶ。しかし本物の鳥ではなく鳩をかたどったスポンジ状の焼菓子に粉砂糖を掛けたもので「コロンバ」と呼ばれている。16世紀以降、入手困難な白い鳩から、いつでも作れ保存のきく焼菓子に徐々に移行したものらしい。近年ではウサギや犬の形をしたもの、チョコレートを掛けたもの、クリームを詰めたものなど様々なバリエーションが登場し、日本のクリスマスケーキにも似た意味不明の存在になりつつある。
一方、卵はおまけ入りチョコレートに変身した。色とりどりのセロハンで包まれ、大きなリボンをつけた20cmほどもある卵型チョコレートで中は空洞、そこに小さなぬいぐるみやプラモデルなどのおもちゃが入っている。子供達にとって復活祭はこの卵に集約される。両親、親戚、近所の人から貰った沢山の卵チョコレートを片っ端から壊していき、中のおまけに一喜一憂する。断片となり飛び散ったチョコレートなどには見向きもしない。
シチリア地方には昔ながらの復活祭菓子が今も残る。小麦粉、砂糖、ラードなどを練った生地を延ばして鳩の形に整え、オーブンで焼いてから卯で卵などで飾りを付ける。数日前に作って食堂に飾っておくのが普通だ。
これがナポリでは塩味のタルトになる。小麦粉、ラード、卵に小さく切ったハムを混ぜた柔らかい生地をケーキ型に流し込み、殻付きの生卵を乗せ、細く切った生地で十字架の飾りを卵の上に施し、オーブンで焼く。
料理文化を頑固に守るイタリアでも、これらのお菓子を作るマンマは少なくなった。今の内に食べておかないと消えてしまう日も遠くはないだろう。


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