農家で食べるイタリア料理

旬を食べるならアグリトゥリズモ



LE FRISE/レ・フリーゼ
注釈:アグリトゥリズモとは宿泊や食事の設備を備えた農園でヨーロッパではポピュラーなものだが、特にイタリアが充実しており、イタリア・アグリトゥリズモ協会に登録するものだけで約1600を数える。

野菜が旨いこの季節になるとアグリトゥリズモへ行きたくなる。取り立ての新鮮極まる野菜や香草をふんだんに使った料理を提供してくれるからだ。農家が作る食事故に、自らが栽培する野菜と飼育している家畜の肉、それにハム、サラミ、チーズなどの自家製加工食品が中心となる。当然、地方色豊かで旬の食材を使った料理を堪能できる。オリーブオイルやワインを作るところも多く、食事しながら今年の出来具合を吟味するのも楽しいものだ。
 5月のある晴れた日曜日、イゼオ湖の北端に近い「レ・フリーゼ」に取材を兼ねて食事に行った。ミラノから車で1時間半、電車だと3時間くらいの道のりだ。ここは山羊の牧畜を主要とする酪農農家でその乳で作る各種チーズは食通に名高い。他にはイノシシ、鵞鳥、鴨、鳩、うさぎ、羊を飼っており、これらは自家菜園の野菜と共にレストランのテーブルを賑わす。平日は農業に忙しいので食事サービスは土曜の夕食と日曜の昼食のみ。アグリトゥリズモは2つのタイプに大別でき、一つはここのように農業中心タイプでレストランの営業は週末だけ。もう一つは商売中心タイプで常に営業している。私の経験では農業中心タイプに安くて旨い店が多い。
 ここは泊まりで食事しに来る人のために部屋が3つあり、そのため朝食も提供してくれる。ちなみに宿泊料は朝食込みでL.40,000-。どうせなら朝食も試してみようと思い、眠い目を擦りつつ、早朝から出かけた。自家製コケモモ、キイチゴ、ニワトコで作ったジャム、近所の農家が毎朝届けてくれるバター(深い味と香がとても印象的)、山羊の乳の自家製ヨーグルト、搾りたての山羊の乳(全然臭くない)、自家製パンにこの地方独特のトウモロコシの粉で作るビスケット(自家製)、そして勿論、香り高いエスプレッソコーヒー。テーブルに並んだ朝食を見た瞬間、早起きがむくわれたと思った。食べ終わった時にはミラノへ帰るのが嫌になった。
 有機栽培に徹する農家が多いのもアグリトゥリズモの特長だ。ここでも菜園は勿論のこと、家畜の餌から餌の栽培にまで気を配り、完全有機食品の提供を誇りとしている。
 女将さんと一緒に摘んだサルビア、ニワトコ、ズッキーニはフリットになって昼食のテーブルに並んだ。他には自家製チーズの盛り会わせ、山羊チーズのムース、カルチョッフィのタルト、肉のカルパッチョ、自家製ラビオリのサルビアバターソースが出て、メインは仔羊のオーブン焼きだった。情けないことに食べきれない。しかしまだ終わりじゃない。とどめを刺すように、摘みたてベリー各種が溢れるほど乗るタルトがデザートに出た。
これで、L. 40,000-は絶対に安いと思う。

LE FRISE/レ・フリーゼ
Loc. Riva dei Balti 25040
Artogne Brescia
Tel 0365-598298


フリットを揚げる女将さんと手伝いに来た近所の奥さん

スモークサーモン入り山羊チーズのムース
名前からは想像できないほどあっさりして癖がない

メインの仔羊を切り分けるオーナーのマルティーニさん

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